脂質は摂るべき?|ダイエット中に脂質を減らしすぎないための考え方を専門トレーナーが解説|SYN GYM恵比寿・広尾店
脂質は摂るべき?ダイエット中に脂質を完全にカットする必要があるのか、専門トレーナーが初心者にもわかりやすく解説。脂質の役割やカロリー、種類、摂り方、外食・筋トレ・PFCバランスとの関係まで紹介します。

「ダイエット中は脂質を摂らないほうがいい?」
「脂質は太るから、できるだけカットしたほうがいい?」
「オリーブオイルやナッツは身体にいいと聞くけど、たくさん食べても大丈夫?」
ダイエットや筋トレを始めると、脂質についてこのような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
脂質は1gあたり9kcalあるため、「脂質=太る」というイメージを持たれやすい栄養素です。
実際の食事指導でも、脂質を極端に減らしてしまい、「食事の満足感がない」「食事制限がつらくて続かない」という相談を受けることがあります。
しかし、脂質は身体に必要な栄養素のひとつです。
ダイエット中だからといって、脂質を完全にカットする必要はありません。
一方で、脂質は少量でもエネルギー量が大きいため、「身体にいい脂質ならいくら食べてもいい」というわけでもありません。
大切なのは、脂質を摂るか摂らないかではなく、
「どんな食品から、どのくらい摂るか」
を考えることです。
この記事では、パーソナルトレーニングの現場での食事指導の考え方を交えながら、脂質の役割、ダイエット中の摂り方、脂質の種類、外食での注意点、筋トレとの関係まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
脂質は摂るべき?結論から言うと「適量は必要」
結論から言うと、脂質は摂るべき栄養素です。
脂質は身体の細胞を構成する成分などとして使われるほか、必須脂肪酸など、食事から摂る必要がある脂肪酸もあります。
WHOも、脂質は身体の細胞が正常に機能するために必要な栄養素であり、食事から摂る必要のある脂肪酸があると説明しています。
つまり、
「ダイエット中だから脂質はゼロ」
という考え方はおすすめできません。
大切なのは、必要な脂質を確保しながら、摂りすぎないことです。
脂質が太りやすいと言われる理由
脂質が「太りやすい」と言われる大きな理由のひとつが、エネルギー量です。
タンパク質と炭水化物は1gあたり約4kcalなのに対して、脂質は1gあたり約9kcalあります。
つまり、同じ重さで比較すると脂質は約2倍のエネルギーを持っています。
例えば、料理に使う油を考えてみましょう。
油は一見すると量が少なく見えます。
しかし、脂質はエネルギーが高いため、少量でも食事全体のカロリーを大きく増やすことがあります。
そのためダイエット中は、
「脂質を摂らない」
ではなく、
「脂質を摂りすぎない」
ことを意識することが重要です。
脂質は1gあたり9kcal
脂質を理解するために覚えておきたいのが、
脂質1g=約9kcal
ということです。
例えば、脂質を20g摂れば、脂質だけで約180kcalになります。
40gなら約360kcalです。
もちろん、実際の食品にはタンパク質や炭水化物なども含まれるため、これだけで食事全体のカロリーが決まるわけではありません。
ただし、
「少しの油だから大丈夫」
と思っていたものが積み重なると、1日のエネルギー摂取量が大きくなることがあります。
ダイエットでは、この「見えにくい脂質」にも注意してみましょう。
脂質にはどんな役割がある?
脂質は単に「カロリーが高い栄養素」ではありません。
身体にとって重要な役割があります。
例えば、
・細胞の構成成分になる ・必須脂肪酸を供給する ・脂溶性ビタミンの吸収に関わる ・食事の満足感につながる ・エネルギー源になる
などです。
そのため、脂質を極端に減らしてしまうのではなく、必要量を確保することが大切です。
ダイエットをしているからといって、身体に必要な栄養素まで削ってしまう必要はありません。
脂質は「量」だけでなく「種類」も大切
脂質と一言で言っても、すべて同じではありません。
脂質にはさまざまな種類があり、食品によって含まれる脂肪酸の種類も異なります。
例えば、
・魚に含まれる脂質 ・ナッツ類に含まれる脂質 ・オリーブオイルなどの植物油 ・肉の脂身 ・バターや生クリームなどの乳製品に含まれる脂質
などがあります。
WHOやAmerican Heart Association(AHA)は、脂質の「量」だけでなく「質」も重要としており、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸を含む食品へ置き換えることを推奨しています。
つまり、
「脂質なら何でも同じ」
と考えるのではなく、普段どんな食品から脂質を摂っているのかを見ることが大切です。
魚やナッツ、植物油の脂質も摂りすぎには注意
「魚やナッツ、オリーブオイルは身体にいいから、たくさん食べても大丈夫」
と考えてしまう方もいます。
しかし、ここにも注意が必要です。
魚やナッツ、植物油などは健康的な食事に取り入れやすい脂質源ですが、脂質を含む以上、エネルギー量はあります。
例えば、ナッツを「身体にいいから」と袋からそのまま食べ続けてしまうと、気づかないうちに量が増えてしまうことがあります。
オリーブオイルも同じです。
「健康にいい油だから何杯使ってもいい」
ということではありません。
健康的な食品でも、量を意識することが大切です。
ダイエット中に脂質を完全カットする必要はない
ダイエット中に、
「脂質を完全にカットしよう」
と考える方もいます。
しかし、実際の食事指導では、最初から脂質を極端に減らすことはおすすめしていません。
なぜなら、食事の満足感が下がってしまい、長く続けにくくなることがあるからです。
例えば、
「鶏胸肉と野菜だけ」
「脂質を避けるために調味料もほとんど使わない」
といった食事を毎日続けるのは、簡単ではありません。
短期間ならできても、仕事や外食、付き合いなどがある中で何か月も続けるのは大変です。
ダイエットでは、短期間だけ厳しい食事をするよりも、長期間続けられる食事を作ることが重要です。
脂質を減らしすぎると食事がつらくなることも
脂質を極端に減らすと、
「何を食べても味気ない」
「食事の満足感がない」
「外食ができない」
「食事のことばかり考えてしまう」
と感じる方もいます。
もちろん、感じ方には個人差があります。
しかし、ダイエットを続けるためには、食事の満足感や生活との両立も無視できません。
例えば、
・調理油を使いすぎない ・揚げ物の頻度を減らす ・脂身の多い肉ばかりにしない ・魚や大豆製品も取り入れる ・ドレッシングをかけすぎない
など、小さな調整から始めることができます。
「脂質ゼロ」を目指すよりも、「摂りすぎを減らす」ほうが現実的です。
ダイエット中の脂質はどのくらい?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の脂質の目標量は総エネルギーの20〜30%とされています。
ただし、これは健康な人の食事全体を考えるための基準であり、「ダイエット中の人は必ず20〜30%にする」という個人向けのルールではありません。
必要なエネルギー量は、年齢、性別、身体活動量、体格、目的などによって変わります。
そのため、
「脂質は毎日○gまで」
と一律に決めるよりも、自分の食事全体や活動量を見ながら調整することが大切です。
特にダイエットでは、脂質だけでなくタンパク質と炭水化物も含めたPFC全体を見ることをおすすめしています。
脂質を摂りすぎやすい食品とは?
脂質の摂取量を見直すなら、普段の食事でどこから脂質が入っているのかを確認してみましょう。
例えば、
・揚げ物 ・脂身の多い肉 ・ベーコンやソーセージなどの加工肉 ・クリーム系の料理 ・バター ・チーズ ・菓子類 ・ドレッシング ・マヨネーズ ・調理油 ・ナッツ類
などです。
もちろん、これらをすべて禁止する必要はありません。
ポイントは「重なり」です。
例えば、
昼:唐揚げ定食 夜:カルボナーラ 間食:ナッツ+チョコレート
となると、脂質が多くなりやすくなります。
一方で、
昼:焼き魚定食 夜:鶏肉+ご飯+野菜 間食:ヨーグルト
など、脂質の摂取量を抑えやすい食事と組み合わせる方法もあります。
外食が多い人は脂質が増えやすい
恵比寿・広尾で働いている方の中には、仕事の都合で外食が多い方もいると思います。
外食自体が悪いわけではありません。
ただし、外食では揚げ物、クリーム系、脂身の多い肉などが重なり、脂質が多くなることがあります。
例えば、
「昼に揚げ物を食べたから、夜は焼き魚にする」
「昼がラーメンだったから、夜は揚げ物を避ける」
といったように、1食だけではなく1日全体で調整する方法があります。
毎回完璧な食事をする必要はありません。
食べすぎたら次の食事で少し調整する。
このくらいの柔軟さが、長く続けるためには大切です。
揚げ物は食べてはいけない?
ダイエット中に、
「揚げ物は絶対に食べてはいけない」
と考える必要もありません。
大切なのは頻度と量です。
例えば、毎日揚げ物を食べているなら、
「週に数回に減らす」
というだけでも食生活は変わります。
また、
「唐揚げ+ポテト+マヨネーズ」
のように脂質の多い食品を重ねるのではなく、
「唐揚げ+ご飯+野菜」
のように組み合わせを調整する方法もあります。
ダイエットは「禁止するものを増やすゲーム」ではありません。
食べたいものを完全に禁止するのではなく、頻度や量、組み合わせを調整していきましょう。
ドレッシングや調味料にも脂質がある
意外と見落としやすいのが調味料です。
例えば、
・ドレッシング ・マヨネーズ ・オリーブオイル ・ごま油 ・バター
などにも脂質が含まれます。
「サラダだからヘルシー」
と思っていても、ドレッシングをたっぷりかけることで、食事全体のエネルギー量が増えることがあります。
もちろんドレッシングを使ってはいけないわけではありません。
量を意識したり、ノンオイルタイプを選んだりするなど、自分に合った方法を取り入れてみましょう。
「良質な脂質」ならたくさん食べてもいい?
これは注意したいポイントです。
「オリーブオイルは身体にいい」
「ナッツは身体にいい」
「魚の脂は身体にいい」
という情報を見たことがあると思います。
確かに、脂質の種類によって身体への影響は異なり、不飽和脂肪酸を含む食品は健康的な食事に取り入れやすい食品です。
しかし、
「身体にいい=無制限に食べていい」
ではありません。
脂質は1gあたり約9kcalあるため、健康的な脂質源でも摂取量が増えればエネルギー過剰につながります。
「良質な脂質を選ぶ」
ことと、
「良質な脂質を大量に食べる」
ことは別です。
質と量の両方を考えるようにしましょう。
脂質の種類を知っておこう
脂質について考えるときは、大きく脂肪酸の種類を意識するとわかりやすくなります。
不飽和脂肪酸
魚、ナッツ、種子、オリーブオイルなどに多く含まれる脂質です。
WHOやAHAでは、飽和脂肪酸の代わりに不飽和脂肪酸を取り入れることが推奨されています。
普段の食事では、
「肉だけではなく魚も食べる」
「バターだけでなく植物油も活用する」
「ナッツや種子類を適量取り入れる」
などの方法があります。
飽和脂肪酸
肉の脂身、バター、チーズ、クリームなどに多く含まれます。
飽和脂肪酸を多く摂りすぎることは健康上のリスクと関連するため、摂取量を意識することが大切です。
特に脂身の多い肉やバター、クリームなどが食事の中で重なりすぎないようにしましょう。
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、食品の加工や製造過程などで生じるものがあります。
WHOは工業的に生産されたトランス脂肪酸を健康的な食事の中に含めないことを推奨しています。
日常生活では、揚げ物や加工食品、焼き菓子などを過剰に摂り続けないことも大切です。
筋トレをしている人も脂質を極端に減らさない
筋トレをしている方は、タンパク質ばかりを意識して脂質を極端に減らしてしまうことがあります。
しかし、筋トレをするためにもエネルギーが必要です。
そのため、
「タンパク質をしっかり摂る」
ことに加えて、
「炭水化物と脂質も含めて必要なエネルギーを確保する」
ことが重要です。
例えば、
タンパク質を確保するために鶏胸肉だけを大量に食べる
脂質を避けるために調味料をほとんど使わない
炭水化物も減らす
という食事にしてしまうと、食事全体が極端になってしまうことがあります。
筋トレの目的が筋肉を増やすことでも、ダイエットでも、食事全体のバランスを見るようにしましょう。
脂質・糖質・タンパク質のどれが悪い?
「脂質と糖質、どちらが太るの?」
という疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし、脂質だけ、糖質だけを悪者にする考え方はおすすめしません。
タンパク質、脂質、炭水化物は、それぞれ身体に必要な栄養素です。
重要なのは、
「1日の総摂取エネルギー」
「PFCのバランス」
「食品の種類」
「食事量」
「身体活動量」
などを総合的に見ることです。
例えば脂質を減らしたとしても、その分お菓子や甘い飲み物を大量に摂っていれば、食事全体のバランスは整いません。
逆に、糖質を減らして脂質を大量に摂ることもおすすめできません。
どれか一つを悪者にするのではなく、全体を見ることが大切です。
脂質を上手に減らす簡単な方法
「脂質を減らしたいけれど、何をすればいいかわからない」
という方は、まず次のような小さな工夫から始めてみましょう。
揚げ物を毎日食べない
毎日唐揚げやとんかつを食べているなら、焼き物や蒸し料理に置き換える日を作ってみましょう。
脂身の少ない肉も取り入れる
鶏胸肉や鶏ささみ、赤身肉など、脂質を抑えやすい食品も取り入れてみましょう。
魚を取り入れる
魚には不飽和脂肪酸を含むものもあります。
肉だけでなく魚も食卓に取り入れてみましょう。
調味料を使いすぎない
ドレッシングやマヨネーズ、油などは「少しずつ」の積み重ねに注意しましょう。
脂質の多い料理を重ねない
昼が揚げ物なら、夜は焼き魚や蒸し料理にするなど、1日全体で調整してみましょう。
ダイエットではPFC全体のバランスを見る
私が食事指導で大切にしているのは、
「脂質を減らす」
だけではありません。
タンパク質、脂質、炭水化物の3つをまとめて考えることです。
例えば、
「タンパク質は十分」
「脂質も多い」
「炭水化物も多い」
という状態なら、全体のエネルギー量が多くなっている可能性があります。
反対に、
「タンパク質は少ない」
「脂質も極端に少ない」
「炭水化物もほとんど摂っていない」
となれば、食事全体が不足している可能性があります。
ダイエットでは、
「何を抜くか」
ではなく、
「何をどのくらい摂るか」
という視点を持ってみましょう。
パーソナルジムでの食事指導では「続けられるか」を重視する
実際のパーソナルトレーニングでは、食事を考えるときに「理想的な食事ができるか」だけではなく、「その人が続けられるか」を重視しています。
例えば、
仕事が忙しい
外食が多い
会食がある
料理をする時間がない
甘いものが好き
揚げ物が好き
という方に、いきなり完璧な食事制限を提案しても続きません。
そのため、
「毎日揚げ物を食べているなら、まず週2〜3回に減らす」
「ドレッシングをかけすぎているなら、量を半分にする」
「脂身の多い肉だけでなく魚も取り入れる」
など、その人の生活に合わせて調整していきます。
食事管理は、100点の食事を短期間だけ続けることよりも、80点程度の食事を長期間続けられるほうが現実的な場合もあります。
脂質は「摂るべきか」ではなく「どう摂るか」
脂質について最も大切なのは、
「摂るべきか、摂らないべきか」
という二択で考えないことです。
考えるべきなのは、
「どんな食品から摂っているか」
「どのくらい摂っているか」
「1日の食事全体はどうなっているか」
です。
例えば、
魚+ご飯+野菜
鶏肉+ご飯+野菜
豆腐+魚+ご飯
など、さまざまな食品を組み合わせながら、適量の脂質を取り入れていきましょう。
ダイエット中でも脂質をゼロにする必要はありません。
脂質を上手に取り入れながら、無理なく続けられる食生活を作っていきましょう。
まとめ
脂質は「太るから摂らないほうがいい」という単純な栄養素ではありません。
脂質は身体に必要な栄養素のひとつであり、完全にカットする必要はありません。
一方で、脂質は1gあたり約9kcalとエネルギー密度が高いため、摂りすぎには注意が必要です。
また、脂質には種類があり、魚、ナッツ、種子、植物油などに含まれる不飽和脂肪酸を取り入れる一方で、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂りすぎを避けることも大切です。
ダイエット中は、
・脂質を完全にカットしない ・脂質の摂りすぎに注意する ・魚やナッツ、植物油なども適量取り入れる ・揚げ物や脂身の多い肉を重ねすぎない ・ドレッシングや調味料にも注意する ・外食の日は1日全体で調整する ・タンパク質、脂質、炭水化物のPFC全体を見る ・無理なく続けられる食事を作る
ことを意識してみましょう。
「脂質=悪」と考えて極端に減らすのではなく、「必要な脂質を適量摂りながら、摂りすぎを防ぐ」という考え方が大切です。
ダイエットでも筋肉をつける場合でも、特定の栄養素だけを悪者にするのではなく、食事全体のバランスを整えていきましょう。
正しい知識を身につけ、自分の生活や目的に合った食事を無理なく続けることが、理想の身体を作るための近道です。
皆さんが極端な食事制限に頼ることなく、健康的で続けやすい食習慣を身につけ、理想の身体に近づいていけることを願っています。
関連記事
PFCバランスとは?ダイエットや筋トレでの考え方を専門トレーナーが解説
タンパク質の必要量|筋トレ・ダイエットに必要な量を専門トレーナーが解説
糖質は悪者?|ダイエットや筋トレで糖質を抜くべきか専門トレーナーが解説
リバウンドしないダイエットの考え方|無理な食事制限を避ける方法
出典
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
World Health Organization「Healthy diet」
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/healthy-diet
World Health Organization「Saturated fatty acid and trans-fatty acid intake for adults and children: WHO guideline」
https://www.who.int/publications/i/item/9789240073630
American Heart Association「Fats in Foods」
https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/fats/fats-in-foods
World Health Organization「What are healthy diets? Joint statement by the Food and Agriculture Organization of the United Nations and the World Health Organization」